ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
電話を切った後、嫉妬で身体が震えてきそうだった。
なんで彼女なんだろう。
なんで私じゃないんだろう。
ぼんやりと夜空を眺める。
辛うじて雲の隙間から顔を覗かす月の光がぼやけて見えた。
惨めだな、私。
私との約束があっても、先輩は必ず彼女から誘われたらそっちを優先する。
私よりも彼女の方が大切。
そんなの、わかってたことなのに…
最近の先輩は、ヤキモチを焼いてくれたり甘い言葉を囁いてくれたり。
これ以上踏み込んではいけないって我慢してたのに、手も繋いだ、キスだってしてくれた。
だから、先輩も私を想ってくれてるんだって…そう思ってたのに。
やだなぁ、もう…
全然違った。勘違いも甚だしい。
涙が頬を伝う。
ここが外で、人が多い駅前だとか。
行き交う人が私を見てくるとか。
そんなこと今の私には考える余裕なんてなくて。
「ゔ…っ…ひっく……」
大粒の涙が、止め処なく流れた。