ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
どれぐらい泣いてただろうか。
「いつまで泣いてんの?」
ぶっきら棒な聞き覚えのある声が聞こえ、俯いていた顔を上げる。
そこにはいつの間にか、目の前の低い柵に寄っ掛かりながら、並木さんが腕を組んで私を見下ろしていた。
「え…なんでここに……?」
何度も瞬きを繰り返して、その存在を確認する。
驚きのあまり、涙はピタッと止まっていた。
「は?なんでって、ここ店の近くだし」
あ…そうか。
言われてみれば、オアシス・カフェはここからすぐのとこにあるんだった。
並木さんがここにいたって何の不思議もない。
「そうでしたね。すみません…」
並木さんの呆れたような言い方に、地味に傷付いてぽつりと謝る。
今の私は多分、ほんの些細なことでも簡単に落ち込んでしまうだろう。
「…お前さ」
そこで言葉を止めると、並木さんは私をジッと見据えた。
瞬きもしない並木さんの目が怖くて、「え?何⁈」と、狼狽えてしまう。