ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
うるさいって…
やっぱりこの人、口悪過ぎやしませんか⁈
くはぁ‼︎ホントむかつく!
心の中で悪態をつきながらも後を着いていくと、並木さんは急に路地を曲がり、やっと向かってる場所の見当がついた。
路地を抜けると閑静な広場が広がり、その一角に建つ、白い二階建てで赤い屋根の建物ーー、オアシス・カフェ。
窓から電気の灯りが漏れているものの、ドアには【CLOSE】と書かれた吊るし看板が掛けてある。
相変わらずお洒落な店だな、とつい足を止めて見惚れていると、
「ほら、早く入れ」
ドアを開けたまま、並木さんが中に入れと促すように目配せしながら言った。
「お、お邪魔しまーす」
地元だけでなく、他市他県から足を運ぶ客がいるほどの人気店。
そんな人気店の誰も知らない閉店後の様子を覗けるという大チャンスに、もちろん胸はドキドキで。
そーっと中に足を踏み入れた。