ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


閉店後にも関わらず、まだ少し残る珈琲の香りが鼻を掠める。

ホールの電気は消されており、カウンターを照らすこれまたお洒落なペンダントライトだけがついていた。


改めてつくづく思う。
こんなにもお洒落で人気なカフェの副店長が、まさかあの口の悪い並木さんだなんて…

そりゃあ、接客中の並木さんは見惚れるほどかっこよかったけど、まさかあんな本性だなんて誰も想像がつかないだろう。

だけど、並木さんが作るパンケーキは悔しいぐらいに絶品なんだよね。



「あら?剛、帰ったんじゃなかったの?」


ホールの真ん中で店中をぐるりと見渡していると、【スタッフオンリー】と書かれたドアから誰かが顔を覗かせた。


あれ?この人、確か…

男性なのに、おネェのような言葉遣い。
イケメンで身長が高くて、極めつけは…


「あら?あなた……まさかっ‼︎剛の彼女⁉︎」

「へ?いやいやいや!違いまーー」

「きゃあ!可愛い〜‼︎ったく、何よもう!こんな可愛い彼女がいながら紹介しないなんて、剛も薄情な奴ね!」


興奮すると人の話も聞かない、強烈キャラ。

正しく、噂に聞くここの店長さんだ!



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