ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
それから、待つこと10分。
エプロンを腰に巻いた並木さんが、お皿とアイスコーヒーを持ってキッチンから出てきた。
「っっ!これはっ」
目の前に置かれたのは、甘い香りを漂わせた二段のパンケーキ。
中央に生クリームがたっぷりと乗っていて、その周りを薄切りのバナナが囲い、上からキャラメルソースを格子状に掛けてある。
す、凄く…美味しそう…!
何なの、これは!スイーツじゃなくて、芸術品みたいに綺麗で、食べるのが勿体ないくらい。
でも、どうしてパンケーキなんだろう?
「アイスコーヒーで良かった?」
「え⁈あ…はい」
これは、突っ込んでもいいの?
突っ込まず、とりあえず食べた方がいい?
カウンター内の換気扇を回し、その下で煙草に火を付ける並木さんをジッと見つめる。
だけど、全く並木さんの真意が見えない。
「…何だよ」
ずっと見つめていたことに気付いた並木さんが眉を寄せる。