ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
不機嫌そうだけど、食べる前に並木さんの謎の行動の意味を知りたくて、思い切って口を開いた。
「あの、これは一体…」
「キャラメルバナナパンケーキ。見ればわかるだろ?」
「そうじゃなくて、どうして今パンケーキなんでしょうか?」
だって、私一言もパンケーキ食べたいなんて言ってないし。
閉店してんのに、わざわざ連れてきてまで作ってくれるなんて、どう考えてもおかしいでしょ?
並木さんは、煙草の煙を換気扇に向けてフゥーッと吐き出すと、私を見ずに言った。
「甘いものは元気になれるからいいって言ったろ?」
へ?確かに、この前ここに来た時に言われたけど。
それとこれと何か関係があるのかな?
「あっ…」
そうか、そういうことか。
並木さんが帰宅途中に、私が駅前広場で泣いてるのを見つけて。
それで慰めるためにわざわざ店に戻ってパンケーキを焼いてくれたんだ。
あれ?でも待って。
あの時、確か『いつまで泣いてんだよ』って言ってたよね?
いつまでって…
並木さんはいつからあそこにいたんだろう?