ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「一つ聞いてもいいですか?」
「何だよ」
「並木さんはいつからあそこにいたんですか?」
「…忘れた」
「忘れたなんて嘘。いつまで泣いてんだって言いましたよね?ずっと見てたんじゃないんですか?」
「……」
並木さんは私から気まずそうに目を逸らすと煙草に口をつけた。
やっぱり。
何も答えない並木さんの反応をYESと捉える。
並木さんはどうしてここまでしてくれるんだろう。
私なんてボランティアでパンケーキ作りを教えてる生徒のうちの一人。
仲が良いわけでもなんでもない。
あんなとこで泣いてたからって、しばらく様子を見ていてくれたり慰めるためにパンケーキを焼いてくれたりするような関係じゃないのに。
それでも、こんな風にしてくれるのは。
並木さんが優しい人だから…だよね?
全く知らない人でも、泣いてる人や困ってる人がいたら放っておけない。
だからこの前、店で私が沈んでる時も声を掛けてくれたし。
橘君のお願いも引き受けた。
そして今日、私を慰めてくれてる。