ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「ごめん、遅くなった」
パンケーキを半分食べ終えた時、先輩が慌てて店に入ってきた。
息を切らした先輩の姿に胸がギュッとする。
私に会うために、走って来てくれたんだ。
それだけで、不安なんて一気に吹き飛んでしまう。
「怒ってる?」
向かい側の席に座った先輩は、私の顔を覗き込み眉を下げて言った。
時間は、10時40分。
待ち合わせから40分の大遅刻。
本来、彼女ならそんなに遅れてきた彼氏に怒ったり、待たずに帰ったりするのかもしれないけど…
「そんなっ!怒ってません!」
怒るわけない。
ただ寂しくて、不安だっただけ。
それに、もし怒ったりしたら…
先輩に愛想尽かれて、もう会ってもらえなくなるかもしれない。
そんなの、嫌だもん。
全力で否定すると、先輩は身体の力が抜けたように「はあぁ…っ、良かった」と息を吐いた。