ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
暫く考えても並木さんの真意がわかるはずもなく、
「さっきカフェの前にいた人ーー」
誰かに聞いてもらいたかった私は、ゆっくりと話し始めた。
なんとなく…並木さんならちゃんと聞いてくれると思った。
軽蔑することも馬鹿にすることもなく、私の話を誰かに言いふらすことも、彼なら絶対にしない。
何故だかわからないけど、並木さんへの信頼は私の中で凄く大きくて。
嫌われたくなくて瀬奈にさえ言えなかった先輩との恋を、涙で途切れ途切れになりつつも全て話した。
私が話してる間、並木さんは相槌を打つこともなく、腕を組み目を瞑って微動だにしなかった。
「仲良さそうな二人を見てたら、辛くて…思わず逃げ出しちゃいました」
話し終えても、何も言わない並木さんにどんどん不安が積もっていく。
何でもいいから、何か反応してほしい…
遠くで賑やかな声が聞こえてくるものの、私達の間には重苦しい空気が漂っていて、今にも逃げ出したい衝動に駆られた。