人見知りのキリスト
序  章 芳江
8歳のクリスマス・イブ――。


わが家の庭は真っ白な雪に覆われた。


東京育ちで、まとまった降雪に馴染みのなかった俺は時ならぬ天からの贈り物に大はしゃぎした。


身の丈以上の巨大な

――といっても俺自身が小さかったので高が知れたサイズだが――

雪の塊を作り上げると、中をくりぬくようにスコップで雪を掻きだしていく。
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