人見知りのキリスト
意識を取り戻したのは病院の一室だった。


四十半ばの父が口をへの字に曲げ、睨むように俺を見おろしていた。



――あ、お父さんだ。



電機メーカーに勤める父・秀人の姿を平日はほとんど見かけたことがなかった。


朝は早くに家を出、夜は帰りが遅い。
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