人見知りのキリスト
「ここどこ? 僕、どうしたの?」



そう訊ねると、母は何か言いかけたが、
言葉がうまく出てこない様子で、
唇をわなわなと振るわせるばかりだった。



「ごめんね、澄人……ごめんね……」



ようやくそう呟くと、母は拝むように手を合わせた。


くぐもった嗚咽がそれに続いた。
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