人見知りのキリスト
何を思ったのか、少年は俺の手を振り払うと、遮断棒をヒョイとくぐり、駆け出した。



「おい!?」



俺も咄嗟に遮断棒をくぐる。


何か意味ありげに仁王立ちする少年をガッチリ抱きすくめると、サバンナに生息する野獣の如き俊敏さで再び安全ゾーンに戻った。

火事場の馬鹿力ではないが、人間いざとなれば意外な力を発揮するものだ。
このとき俺は一生分の反射神経を使い切ったような気がした。
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