人見知りのキリスト
「作家なんてどうだ?」



「ええ? サッカーなんてやだよ。野球、プロ野球!」



何を馬鹿なこと言ってるんだとでもいいたげに、少年はむくれた。



――サッカーじゃなくて作家だ。



物語を書く人のことだと説明しようとしたが、もうやめた。


よくよく思い返してみれば、俺が作家を志したのは大学に入ってからじゃないか。


それもやむにやまれず追い詰められてであって、何も長年の夢を結実させようとして始めたわけではない。
< 167 / 216 >

この作品をシェア

pagetop