人見知りのキリスト
少年に奇跡を与えてやってくれだと?

歳は8つでも、あいつはこのおれ自身なんだぞ。

何、調子のいいこと言ってるんだ。

ただ単に、哀れな自分を救いたいという願望を体よく覆い隠してただけだろうが!


"もしもあの時こうしていたら"

或いは

"こうしていなかったら"


タイムトラベル小説の発想の原点は過去への悔恨に根ざしていることが多い。

俺の書く小説など、正にその典型だ。

主人公は何らかの形で忌まわしい過去を塗り替え、最後は必ずハッピーエンドで終る。


俺は虚構の世界でしか実現しえない願望を、図々しくも現実世界で叶えようとしたのだ。



過去を変えることで惨めな人生をリセットする、これほどのズルが他にあるだろうか。
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