人見知りのキリスト
第十一章 宴
電車を乗り継ぎ、JRの原宿駅で下車した。



――時刻は19:50



近所の商店街とは異なり、クリスマス・イブの表参道は華やかさと気品に満ち溢れていた。


同じ東京でも随分違うものだ。


わざとらしいジングルベルの音も聞こえてこなければ、にわか仕込みの着ぐるみサンタクロースが徘徊している様子もない。


どこから湧いてきたのかと思えるほどの老若男女たち――。

これら無数の群集が発する会話と嬌声が、意味のない喧噪となって聖夜の街を覆いつくしていた。
< 181 / 216 >

この作品をシェア

pagetop