人見知りのキリスト
俺は慌てて教会の中に飛び込んだ。


目の前に重厚なバロック様式の礼拝堂が姿を現した。


中世ヨーロッパにでも迷い込んだ気分だ。


賛美歌を歌う聖歌隊――。

席を埋め尽くす信者たち――。



だが、どこを見回しても母の姿はない。


俺は幻でも見たのだろうか……。



いずれにしても、ここで立ち尽くしているわけにはいかない。


とりあえず腰を下ろそうと、俺は多くの信者たちを掻き分けながら空いている席を探した。
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