人見知りのキリスト
第十二章 運命
ミサの幕が下りた。


敬虔な祈りを捧げていた信者たちの姿も今はない。

それぞれの家路につき、
それぞれの聖夜を過ごしているのであろう。

愛する家族とともに、

そうでなければ神聖な神とともに。


十字架に張り付けられたイエスのオブジェが象徴的な姿で壇上に祀られている。

まるで鏡を見ているような気分だ。



今ここには、俺しかいない。


靴音を響かせ近づいてくる、

70は優に越えているであろう

年老いた神父を除いては――。



「あなたを見たときは一瞬目を疑いましたよ。失礼を承知で申し上げれば、何かの余興ではないかと」



神父の声は渋いバリトンだ。
容貌は晩年のローレンス・オリヴィエを思い起こさせた。
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