人見知りのキリスト
俺は神父の肩を掴み、食ってかかった。


駄々をこねる子供をあやすように神父は俺を引き剥がすと、変わらぬバリトンでこう言った。



「彼女は今日のミサを心待ちにしていました。あなたの前に姿を見せたのも、きっとその一念からだったのでしょう」



あれは幽霊だったって言うのか!



嘘だろ!



嘘だと言ってくれ! 神父さん!
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