人見知りのキリスト
あ、そう言えばこの間、あいつ、俺に原稿持ってきたな。


「澄人、率直な感想を聞かせてくれ」って、


やけに真剣な顔してたっけ。


健ちゃんも『光山龍神』という仮面の人生に嫌気が差してきたのかもしれない。


俺は以前ほど世を儚むこともなくなったが、テレビに出られるほど図太くもなっていない。


相変わらずゴーストライター稼業は続けているし、出会い系サイトにも毎晩訪れている。


人間そう簡単には変われないようだ。


しばらくはこれまで通り、龍神と二人三脚の人生を送っていくことになるのだろう。
< 214 / 216 >

この作品をシェア

pagetop