人見知りのキリスト
「澄人、あんたも相当鈍いね」



オバサン天使は人生の大先輩ででもあるかのような口ぶりだ。



「はあ? 一体、何のことだよ」



やれやれ、まだ分からないのかと言わんばかりに、オバサン天使は渋柿のように顔をゆがめた。



「オードリーちゃんはお見合いパーティーにかこつけて、あんたをデートに誘ってるんじゃないか。『男は顔じゃない』って? 今時珍しくしっかりした娘さんだよ」



――なるほど。確かにこいつは幽霊ではないらしい。


もっとも、見た目と口調は相変わらずのオバサンだが。
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