人見知りのキリスト
「夕飯までに帰ってこないと、サンタさんグローブ持ってきてくれないわよ」



母が俺をたしなめた。



サンタクロースの代理人だと言う父に、俺は有名メーカーのグローブをお願いしていた。
色は濃い目のブルー。
お気に入りのプロ野球選手と一緒だ。


サンタクロースと父が同一人物であることを知ったのは、もう少し先のことだったように思う。


八歳の俺にはサンタの正体よりも、毎年きちんとプレゼントを貰えることの方が重要だった。



――明日、健ちゃんに新しいグローブを自慢してやるんだ。
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