人見知りのキリスト
今思えばこの時が人生の分岐点だったのだ。



俺は健ちゃんの家にまっすぐ行かず、思いの他暖かい雪室の中でそのまま眠ってしまった。


何か夢を見ていたことだけはうっすらと記憶に残っている。

悪夢であったようにも思うし、存外楽しかったようにも思う。

夢の中で訪れた場所ははるか遠くの世界だった気もするし、存外近場だった気もする。

いずれにしても、どんなストーリーだったかは全く憶えていない。




ハッと目覚めた瞬間、俺は何を思ったのか脱兎のごとく駆け出した。
雪に足元をすくわれ、激しく前方に倒れこむ。



「うわーーーっ!!」



自分の発した絶叫。
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