人見知りのキリスト
――まさか!



その瞬間、キリでも突きたてられたかのような衝撃が背中に走った。


年の頃は8歳前後、

イナズマ仮面を被った少年がかまくらから出てきて、

さもここは自分の家だと言わんばかりに、わめきたてている……。

空想と現実をない交ぜにするほど、俺は馬鹿でもなければ若くもない。
ただ一方でSF作家の性なのか、抑えきれない夢想が頭の片隅に一瞬沸いたのも事実だ。

泣き叫び必死に抵抗する少年から、俺はイナズマ仮面を無理やり剥ぎ取った。


< 92 / 216 >

この作品をシェア

pagetop