人見知りのキリスト
少年の体からは幾分力が抜けたようだが、俺の身は戦慄で硬直していた。



「オジサン、誰なの?」



少年は不思議そうな表情で俺を見つめた。



「俺は、その……お父さんの友達だ」



「どうして僕の名前……?」



「だから、お父さんの友達だって言ってるだろ。お母さんは今買い物に出かけてるよ」



「ほんと?」



先ほどまで泣き叫んでいたのが嘘だったかのように、少年は落ち着きを取り戻したようだ。
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