人見知りのキリスト
軽いめまいがした。
忘れもしない。
確かにあの日、俺はサンタにグローブをお願いしていた。
父の方でもチャンと用意していたはずなのだが、結局、そのグローブが俺の手にはめられることはなかった。
こんな素顔を晒してまで野球に興じる気など全く起きなかったし、父は父で哀れな息子を慮ったのだろう、退院して家に帰ってきてからもグローブの話は一切しなかった。
目の前の少年を見て、『まさか』と『もしや』が再び頭の中でせめぎあった。
もしかしてこれは何かたち悪い悪戯なのではないか?
何らかの意図を持って、俺を欺こうとしているのでは?
いや、こんなチビ自らが俺を騙そうと思う動機などあろうはずもない。
忘れもしない。
確かにあの日、俺はサンタにグローブをお願いしていた。
父の方でもチャンと用意していたはずなのだが、結局、そのグローブが俺の手にはめられることはなかった。
こんな素顔を晒してまで野球に興じる気など全く起きなかったし、父は父で哀れな息子を慮ったのだろう、退院して家に帰ってきてからもグローブの話は一切しなかった。
目の前の少年を見て、『まさか』と『もしや』が再び頭の中でせめぎあった。
もしかしてこれは何かたち悪い悪戯なのではないか?
何らかの意図を持って、俺を欺こうとしているのでは?
いや、こんなチビ自らが俺を騙そうと思う動機などあろうはずもない。