ラヴコリーダ
宣言するように言い終わると、
「帰るぞ」

「えっ…わっ…!?」

部長がわたしの手をひいて立ちあがらせた。

周りの視線がわたしと部長に注がれる。

その視線が注がれる中、わたしは部長に連行されるようにその場を後にした。


金曜日の夜と言うこともあってか、繁華街は盛りあがっている。

「部長、ちょっと…待ってください…!」

わたしの声なんて聞こえていないと言うように、部長はわたしの手をひいたまま歩いている。

パンプスをカツカツと言わせながら部長の速度にあわせるのが精一杯である。

「部長!」

強い口調で呼んだわたしの声に、部長はようやく足を止めてくれた。
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