ラヴコリーダ
朝まで…と言うよりも始発まで、ここにいなきゃダメってことだよね?

そう思いながら膝を抱えてテレビを見ていたら、
「まだ逃げてなかったのか?」

バスタオルで髪をふきながら、部長がバスルームから出てきた。

「逃げるも帰るも…」

呟くように言ったわたしに、
「ああ、終電か」

部長がわかったと言うように返事した。

「仕方ない」

部長はそう言うと、ソファーのうえに放り投げていたジャケットを身につけた。

「えっ、部長?」

驚いたように呼んだわたしに、
「俺が帰る。

ホテル代は俺が出すから、涼香はここで泊まって行け」

部長はバスタオルをたたみながら言った。
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