真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
あたしは何となくぼんやりと

その人を見つめていた。

あたしの視線を感じたのか、

彼女がこちらを見た。


目が、あった。


意識的に見つめていたあたしは、

一瞬、動きが止まってしまう。


しまった。


目をそらすまでに、おかしな間が開いた。

目をそらす動作も不自然でぎこちない。


その人が訝しむように小首をかしげるのが

目の端にうつる。


あたしは意を決して顔をあげた。


だけど


もうその人は、部員に飲ませるのであろうお茶を作る作業に没頭していた。


あたしを気にした風もなかった。
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