真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
「あんたさあ、空手部に友達いたじゃん?」

席についたまま後ずさりするような

杉野の反応を無視して、

あたしは切り込み口調で言う。

杉野は一瞬「は?」というような顔をしてから答えた。

「あ、ああ…。松永のこと?それが、何?」


「ちょっと、呼んできなよ。松永って隣のクラスじゃん。」


有無を言わさない命令口調に

さすがに杉野が眉をしかめる。

「えぇ?今から!?あと10分でHR始まっちゃうよ?それに、あいつになんの用だよ。」


「あと10分も、ある。何の用かは、あんたに関係ない。さっさと呼んで来てよ。」

切り捨てるようなあたしの口調に、だけど杉野はしぶしぶ立ち上がる。

幼い頃の力関係は、まだまだ健在のようだ。

杉野が廊下に出るのを確認してあたしも廊下に出た。

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