真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
「…別れないんですか?」


さっきみたいに、噛みつくような口調で

言ったつもりだったのに、どうやら失敗だったらしい。


情けないほど、小さな声しか出なかった。


遠野さんは、立ち止まると顔だけ

あたしに、向けた。


「君には関係のないことだ。」


遠野さんの、低く乾いた声があたしの

足もとに転がる。


冷たいくらい、きつい眼差し。


正視できずに、あたしは俯く。


遠野さんが、あたしに背を向けて


歩き出す。


歩き出した背中に、あたしは思わず


叫んでいた。



「あたしと付き合って下さい!!」



遠野さんの、白いシャツに爪を立てる


みたいに、あたしは無様に叫んだんだ。


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