真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
「以前にも似たようなことがあったんだ。」


沈黙のあと、遠野さんが淡々と話し始めた。


あたしは俯けていた顔を、持ち上げた。

「君の言うとおり、俺は彼女と付き合っている。

だから、すまない。

君とは付き合えない。」



フラれた。


当然か。


あたしは、頭の冷静な部分で


自分を嘲笑った。


遠野さんは、真っ直ぐにあたしを見つめて言った後、


す、と目を伏せた。


「うぬぼれていると思われるかもしれないが、

俺が彼女と付き合っていることが、

彼女を傷つけているのだとわかっている。」


やっとあたしは自分の愚かさに気付いて

気付いたら

恥ずかしくて、いても立ってもいられなくなった。


恥ずかしさと、フラれたことの痛みが


いっぺんにやってきて


逃げ出したい。

そう思ったけど、

足が動かなかった。
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