真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
「傷つける、とわかっていても

ダメなんだ。俺は彼女が側にいてくれ

ないと、ダメなんだ。」


ずいぶん、勝手だろう?


そう言って、遠野さんはひっそりと笑った。


もう、ダメだ。


あたしの涙腺は盛大に決壊した。


せめて嗚咽は漏らすまいと思うのに、


喉の奥が勝手に、くぅと情けない音を

たてる。


「ごめんなさい…!」


やっとそれだけ言うと、

あたしはくしゃくしゃの顔を見られる

のが嫌で、頭を下げた。


間違えた。



好きです


って、そう伝えたかったのに


やり方を間違えてしまったんだ。


もう、取り返しがつかない。
< 41 / 54 >

この作品をシェア

pagetop