真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
あたしったら、何をのん気に話してるんだろう…

この人は、好きな人の彼女だっていうのに。

何だか少しバカバカしくなってきた。


申し訳なさそうな様子を微塵も見せない

鷺原さんを、あたしはちらりと横目で見る。

「…なんか、どーでもよくなってきちゃいました。」


すると鷺原さんは

「そうそう、その意気よ!」

と言って、あたしの背中を

ばしんと叩いた。

結構、痛い。

あたしは思わず苦笑とも失笑とも

つかない笑いを、ため息と一緒に

吐き出した。


ああ、強いってこういうことか…

細いけれど決して折れない竹のしなやか

さを思い出す。

「でも張り紙はダメだから!今度

やったら、グーでパンチするからね。」

あながち冗談でもなさそうな、鷺原さん

にあたしは、思わず首をすくめた。

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