真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
涼は教科書を鞄に仕舞って立ちあがった。


「…あいつ、どうした?」

「うん、反省してたみたいだよ。

もう、絶対しないって言ってたし。」

「そうか。」


何気ない風を装っている涼を、綾はちらと見る。

「何?気になる?…もしかして、

ちょっと心が揺れたとか?」

涼が驚いたように綾を見る。

一瞬、綾の顔を凝視してから、口元に

いたずらっぽい笑みを浮かべる。

「そうだな。もったいなかったな。」

綾は返答に困って、黙って歩く。


「あれほど真っ直ぐな気性なら、強くなっただろうに。

空手部にスカウトしたかったな。

筋肉質の、なかなかいい体格をしていた。」

思い出すように、涼は顎に手を当てて空

を仰ぐ。


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