真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
「んー、ほらあの背の高い…」


若干、機嫌の悪い声で教えるが、さすが

リカはそんなことではひるまない。

ほほう、と妙な相づちをうちながら

再びグラウンドに目をやる。

リカはすぐにあー、と言ってこちらを見た。

「知ってるよー。遠野さんじゃん。」


うん、そうだよ。


「空手部の主将だよね。」


そうなんだ。

「ほら、この間黒田たちも、超かっこいいとかって、騒いでたじゃん。」

…そうだっけ?

「なに、遠野さんがどーかした?」


「いや、どうっていうか…。」


「え、マジで!?ちょっと直子さーん。

顔赤いんですけどー。」

いかにも楽しそうに言って、

リカはあたしの顔の前で手をたたいた。

あー、でもと言って、リカが突然真顔に

なる。

「遠野さんって彼女いるらしーよ。」


え?
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