あなたがいなければ。【短編小説】
『いやぁぁ!助けて!』
『逃げないで。』
『ひっ!こっ来ないで!』
『落ち着いて。大人しくしてたら、何もしないから。』
『ほっ本当?』
『あぁ!本当だよ!俺がそんなに、嘘付く奴に見える?』
『…』
『じゃあ静にしててね。』
『…』
ガバッ
ハァハァハァハァ
「嫌な夢見た。」
本当に嫌な夢。
私が小さい頃の記憶。
お兄ちゃんが私の家に来てから3ヶ月がたった。
色々考えていたら、貴重な時間があっという間に過ぎてしまった。
制服に着替えて、手ぶらで学校に向かう。
なぜかと言うと、
「――――。では、良い夏休みを。」
明日から夏休みだから!
「それじゃあ、教室に戻ってHRやるぞー。」
「え゛ぇぇぇ!やだぁ。」
「なら、慧里奈だけ特別授業するか。」
「やったぁ!HR大好き!」
「なら仕方ないか。HRやるぞー。」
あー。
つまらない。
………。
サボろう!
めっちゃ良いじゃん!
考える時間もあるし。
「よしっ!決まり!里奈!」
「分かってるわよ。どうせ、“サボるからフォローよろしく”とかなんとかでしょ?」
「うん!出来る?」
「当たり前でしょ?この私に出来ない事なんて慧里奈にテストで勝てないだけよ。」
「はははっ…」
きっと根に持ってる。
「早くいきなさい。考えたい事があるんでしょ?」
「うん。」
「良く考えなさいよ?」
「なんで?」
「慧里奈が今考えてることは、かなり重要なことよ。」
「…分かった。行って来ます。」
ありがと。
そう心で里奈に言って屋上に向かう。