あなたがいなければ。【短編小説】


「高垣君。」

きっと里奈は、私が高垣君の事で悩んでたのを知ってたんだ。

「晃君。」

何を忘れてるんだろう。

大事な事。
高垣君。
晃…
隣の席。

今日見た夢にも何か引っかかる。

そういえば、お兄ちゃんも“こう”って言ってた。

高垣君がやっぱり関係あるの?

でも本人は『隣の席。』って言ってた。違う。



私…











好きな人いたような気がする…

そう思った途端に一気に記憶が流れてくる。

『慧里奈。』

『ずっと会いたかった…』

『どこ行くの?』

『お前が悪い。』

『初めてじゃない。』

『夢じゃねーよ。』

『引っ越した時から。』

『俺に頼れよ。』

『なんで頼んないんだよ!』

『あの時は、弱かった俺がいけなかったんだ。』








思い出したよ。
たっ君。
ごめんね。
つらい思いさせたよね。


キーンコーンカーンコーン
ガチャッ


行こう。
たっ君の所へ。

思い出したよ!って。
ありがとうって。

大好きって…

言いたい。
いや。
言おう。



タタタタタタタタタ

廊下を速いスピードで走り抜ける。

早く会いたいから…

早く この気持ちを…

伝えたいから。


ガラガラガラッ!
バンッ!

「高垣君!!」

私が見た状況は、教室が空の状態…

なのに、窓側の席に座る一つの影。


「遅かったな。みんな帰ったぞ。」
「うん。」
「お前。HRサボっただろ。」
「…。」

そこにいたのは、私の愛しい人。

「ったく。ほら。先生から預かったプリント。」
「あっありがとう。」


私の事待っててくれたのかな?



私って自意識過剰かもしれないけど…。

「なぁ。」
「なっ何?」
「何で…あだ名で呼ばないの?」
「はっ?」

知ってたの!?

「いつから知ってたの!?」
「慧里奈が教室に戻ってきたときから。」
「へっ、へー。」
「で、呼んでくれないの?」
「呼ばないよ!」
「小学校の頃は、呼んでくれたじゃん。」
「小学校は過去!今は高校生!」
「いいから呼べよ。」

そう言って、一歩ずつ近付いて来る。

「やだ。」
「言わないと、大変な事になるぞ?」



おどしてきた!


まっ
まさかの展開!?

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