あなたがいなければ。【短編小説】
そんな事を言っていると…
ギュッ
「俺マジ 慧里奈不足だったんだからな。」
「私不足?」
「あぁ。探してもいねぇし。」
「ごめんなさい。」
「許さない。」
「えっ!?」
「慧里奈からキスしてくんないとやだ。」
「むっ 無理!出来ない!」
「じゃあ口聞かない!」
「分かったから!あっ。」
「言ったな?」
「…」
私マジ馬鹿。
「うわぁ。楽しみだ!慧里奈のキス。」
「やっ やっぱり――」
「やだなんて言わないよな?」
「はっはい。」
あ゛ぁー
人生最大の悩み事が今出てきた!
どっどうしよう。
晃君とのキスなんて、夏祭り以来だし…
夏祭りね…。
あの時も大変だったわ。
あっ!
そうだ!
夢で見たキスの授業??を参考に…
あ゛ぁぁ!
あれは亀ちゃんだ!
気持ちわりぃ!
っておもったら、なんか息が苦しくなってきた。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
何もしてないのに、息が!
「大丈夫か?」
「だいっじょう…ぶ。はぁ はぁ はぁ 」
ダメ。
息が苦しい。
「はっはっはっはっはっ。ひぃひぃひぃひぃ。」
いやっ!
過呼吸。
過呼吸になると思い出す。
『エリナ。』
『他には何にもいらない。』
『何もしないから。』
『愛してるよ。慧里奈。』
嫌々嫌々。
忘れかけてたのに!
「ひぃひぃひぃひぃ。」
「慧里奈!」
いっ
意識が…
朦朧とする。
『お前が可愛すぎるからいけないんだ!!』
『他の男に話しかけんじゃねぇーよ!!』
『全部おまえのためにやってるんだよ。』
『俺からはなれるなよ?』
嫌。
いや。
イヤッ!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
思い出したくなかったに。
忘れかけてたのに。
決して、消せる過去じゃないんだ…。
「――奈!!」
…
「―里奈!慧里奈ぁ!!」
誰が私を呼ぶ。
「慧里奈!」
あっ。
これは私の大好きな声…
プツッ
そこで私の意識は切れた。