あなたがいなければ。【短編小説】


ここはどこ?




白い天井。
眩しい光。

なんか重い。

ガバッ

「里奈?」
「ん~。」

寝てる。

周りを見渡すと、機械とかドアが2つある。

病院か…

ってことは里奈は私の看病をずっとしててくれたんだ。


「ありがとう。」
「ん~。…慧里奈?」
「起こしちゃった?」
「ううん。大丈夫だよって…。慧里奈!?」
「ん?」
「ボタン押さなきゃ!」

ダダダダダダ

コンコン

「はい。どうぞ。」
「神崎さん。お体の具合は大丈夫ですか?」
「はい。かなり元気です!」
「そうですか。少しだけ検査をして退院はいつになるか判断しましょう。」
「はい!」






翌日



「先生ありがとうございました!」
「いえいえ。元気になって良かったですね。」
「はいっ!」
「ではお大事に。」
「ありがとうございました。」

そういって 病院を後にする。

そういえば…

「晃君来なかった。」

晃君以外はみんな来てくれたのに…。

そうだ!
電話してみよう!

プルルルルルル
プルルルルルル
カチャ

「はい。」
「晃君?」
「慧里奈?慧里奈なのか!?」
「うん。私。さっき病院出たところ。」
「今から迎えに行くから、待ってろ!」
「うん。」


10分後。


「慧里奈!!」

タクシーから降りてくる晃君。

「晃君!いっぱい質問したいことあるんだからね!」
「あぁ。ごめん。じゃあ行こっか。」
「うん!」


今日はそのまま家に送ってもらった。

誰もいない寂しい部屋に…

「じゃあこれから、人と会うから。また明日。学校で。」
「うん。気を付けてね。」
「あぁ。じゃあな。」

そういって行ってしまった。

本当は聞きたいことたくさんあった。

誰と会うの?

何でお見舞いに来てくれなかったの?


寂しいよ。
昔を思い出す。


『うわぁぁん。ほんとうのママとパパに会っちゃいけないのぉ?。』
『死んじゃったの?』
『もう会えないの?』
『私は……捨てられたの?』


答えはいつも
“yes”


だから晃君への質問…

私の事嫌いになったからお見舞いに来てくれなかったの?

そんな質問も“yes”で返されそうで怖い。


怖くて…
寂しくて…
悲しくて…
不安で…


「どうしたらいいの?」


私はその後泣きながら眠りについた。

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