あなたがいなければ。【短編小説】
「何をどこでしてたの?」
「お父様に帰ってきたという報告をお父様のお部屋でしていました。」
あながち嘘では無い。
「それ以外にも何か報告してない?」
痛いところを付いてきましたね。
「してませんよ。ただ…」
「ただ?」
「私が帰ってきた事にビックリしていただけです。」
「そっか…」
「…では私は部屋に戻り…」
ギュッ
「ダメ。」
「…」
始まった。
恋愛ごっこ。
「まだ俺の傍にいて。」
「離して下さい。」
「何年離れてたと思う?」
「そんなの知りません。興味無かったので…。」
これで離れてくれるかな?
「…。」
「…。」
ん?
「…。」
「…。」
…
ギュッ
「ちょっ!」
「そんな事言うこと子は…」
「…?」
「お仕置きだね…。」
これは選択肢を間違えちゃいました。
「ほら!早く!」
私、今人生最大(そこまでじゃないけど…)の難問にぶつかってます。
お兄様に腕を引っ張られながら…
「ほら!入って入って!」
案内されたのはお兄様の部屋。
「ほらほら!そこ座って!」
そういって指を指すのは、ベッド。