あなたがいなければ。【短編小説】
兄「慧里奈。調子に乗るなよ。」
「はい。」
やっぱり勝てないのかな?
ショックだ…。
「始めていい?」
「うん。」
「…そしたら智彦さんは、“なんで?”って言ったんだ。」
★バージョン小さい頃の晃★
『なんで?』
『何でって…』
『君には関係無いことだよね?』
『…』
『でも、ありがたいよ。』
『は?』
『年上に向かってその言い方はないだろ?』
『あっはい。』
『とりあえず、俺が警報機止めたから良かったけど…』
『警報って、災害などに対する警戒を促す知らせ…の事ですか?』
『君は、歩く辞典だね…。』
『それは褒めてるんですか?』
『まぁそんな感じかな?』
『じゃあ話を続けて下さい。』
『ん~。とりあえず止めといた。』
『…。』
『…。』
『…。』
『とりあえずなんか喋って?』
『はい。』
『で?他に質問は?』
『慧里奈に手を出すな。』
『こいつをお父様につきだした方が良いな。』
『嫌です。』
『そう言えば君、名前は?』
『知ってどうするんですか?』
『お父様に突き出そうか…。』
『高垣晃です。』
『慧里奈からはなんて呼ばれてるの?』
『…。』
『恥ずかしいの?』
『…。』
『じゃあ当てよう!』
コクン
『晃ちゃん!』
ブンッブンッ
『ん~っとね~。たかちゃん!』
フルフル
『えっ!?違うの!?じゃあね~。がっきー!』
『ふざけてるんですか?』
『ふざけてない。いたって真剣だよ。』
『真面目にやって下さい。』
『た~くんが最初から教えて、くれ れば…。まさか…。』
『そうです。そのまさかです。』
『たっ君かぁ!』
『…』
『随分と可愛いあだ名だねぇ!』
『…。』
『宜しくね!たっ君!』
『その呼び方、慧里奈だけなんで…。』
そうだよ。
慧里奈だから、許してる。
『何々?慧里奈は特別?』
『はい。』
『マジかぁ。ってことは、“好き”なんだ!』
こいつ…うざい。
『それが何か…?』
『ふっ。君なら慧里奈を任せられそうだ。』
『?』
『慧里奈を…頼んだよ。』
『知ってます。』
『ハイハイ。まだ子供の癖に大人ぶっちゃって。可愛くない奴。』
『可愛いなんて、呼ばれたくないです。』
『慧里奈からは?』
『…』
『言われたいんだね…。』
『俺…一応男なんで、慧里奈には格好いいって言われたいです。』
『おぉ!言うねぇ!確かに、慧里奈からはかっこいいって言われたいね!』
話がわかる人だ。