心の地図
すると、階段の方から人の足音がした。
私はそんなことは気にせずに、
ブランコを漕ぎ続けた。
…ギーコーギーコー
階段を上ってきたのは、
私と同い年くらいの男の子だった。
「あ…こんちわぁ」
男の子は私に気付き、挨拶をした。
「こ…こんにちわ」
人と喋るの久しぶりだな…。
先生以外とは喋ってなかったから。
先生はいつも、『祇園…大丈夫か?』と言う。
私はいつも、その返事に決まって言う。
『大丈夫な訳ありません。
大丈夫でしたら、こんな生活送ってません。
先生は知らないでしょうが、
一人は寂しいですよ?』
そう言うと、どの先生も黙ってしまう。