2人のユウト
「昔のこと、ですか?」
「はい・・・。
実はあたしには、お兄ちゃんがいるんです。
ずっと昔に別れたお兄ちゃんが」
お兄ちゃん・・・?
「お兄ちゃんと別れたのは、あたしが中2の時です。
それ以来、お兄ちゃんと会っていません」
「美夏さん、失礼ですけど、今いくつ?」
「高1です。だから、16歳」
中2が14歳だから、2年前か。
「2年間もの間、会っていないの?」
「はい・・・。
別れる日は、お兄ちゃんの中学の卒業式でした。
何故かお父様やお母様と喧嘩していて。
と言ってもお兄ちゃんはあんまり喜怒哀楽を外に出さない人でしたから、一方的にお父様とお母様が言っていました。
普段はお父様もお母様も喜怒哀楽を出さない人だったので、驚きました。
その後お兄ちゃんは、あたしの知らない人に連れて行かれて、どこへ行ったのかわかりません。
お父様とお母様はお兄ちゃんを嫌うので、今どこで何をしているかは聞けません。
聞こうとしたんですけど、あたしにお兄ちゃんは関係ないからと言って、聞いてくれません」
そうなんだ・・・。
「お兄ちゃんはお父様やお母様と散々喧嘩した後、部屋へ戻って行きました。
その時あたし、お兄ちゃんに声をかけたんです。
そうしたらお兄ちゃんはあたしに言いました。
美夏がいるからだ、何で美夏ばかりって・・・」