2人のユウト




 ぽろぽろと涙を流しながら話す美夏さん。


 わけわからぬまま言われるなんて。



 私は灯さんから借りたハンカチを美夏さんに渡す。



 遠慮がちにも受け取った美夏さんは、ハンカチで目頭を押さえる。



「あたしに色々言いながら、お兄ちゃんは泣いていました。
凄く辛そうな顔で、泣いていました。

さっきユキさんが泣いた時、お兄ちゃんのその顔を思い出してしまって。
あの時、泣くほどお兄ちゃんは辛かったはずなのに、あたしは何も出来なかったんです・・・・。
最低ですよね、あたし」




「美夏さんは最低なんかじゃないですよ。
最低な人は、お兄ちゃんを思って涙しません」



「ユキさん・・・。
ありがとうございます」



 ハンカチを目から離した美夏さんは、優しく微笑んだ。


 その太陽のような笑みが、どこか懐かしい。





「聞いていただいてありがとうございます。
良かったら、あたしに話してみませんか?
おせっかいだと思うんですけど」



「え?良いんですか?」



 抱えておくには大きすぎるから。


 私は話すことにした。







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