2人のユウト
一生、愛してみせる
☆勇都side☆
峯長家長男、有名メイクアーティストとなる姉・真梨香の弟として生まれた俺は、餓鬼の頃から、家で1人で過ごすことが多かった。
母親はすぐに亡くした。顔も知らない。
父親は有名レストランのシェフで、毎日が仕事。
姉貴も毎日仕事で、休みの日は出かけてしまうから。
俺は毎日1人で過ごした。
友人には「家には両親がいる」と嘘をつき、放課後遊ぶことはなかった。
俺の家は近所では有名なお金持ちの家。
いつも温かい灯が灯る、楽しい家だと信じられていたため、仕事で家族がいないことを近所の奴や友人に、ばれたくなかったから。
久しぶりに会う父さんにも、そう言われていたから。
「近所での峯長家の評判を落とすな」と。
餓鬼の頃なんて、親の言うことが絶対。
逆らうことは出来なかった。
その日は中学の入学式だったため、俺は早くに帰宅した。
すると、いつも人のいない家に、姉貴がいた。
姉貴は勇子の担当編集者であり、親友である川島に頼み、俺の今までの生活や成績を調べ上げていたらしい。
久々に出会って早々、姉貴は切り出した。