2人のユウト
「寂しいの?勇都。
毎日毎日嘘ついて遊べなくて。
父さんに言われたことを守って。
つまらないと思わない?
あたしもあんたが生まれるまでは同じ気持ちだったわ。
でも、あたしはあんたみたいに、いつまでも親の言う通りに生きないわ。
あたしにはあたしの人生があるの。
邪魔なんてされたくないわ。
寂しかったあたしが辿り着いた、寂しさを紛らわす方法を教えるわ」
「何?」
「男よ男」
姉貴は美人で有名で優しいと評判のため、男によくモテた。
しかし、裏では色んな男をとっかえひっかえして遊ぶ姿を、よく見かけていた。
「男があたしを寂しくさせなかったの。
だから勇都も同じ方法で寂しさを紛らわせば良いわ。
勇都は顔が良いから、愛想を良くして微笑めば、すぐに女は寄ってくるわ。
心配はしなくて良いのよ。
女は殆どが男を顔で決めるから」
俺は姉貴から女をオトす方法を学び、かっこいいブランド物の服を着こなし、深夜の繁華街へ出かけた。
すると、瞬く間に女が集まってきた。
「名前、なんて言うんですかー?」
「リュウ。神川リュウ。よろしくね」
偽名を使い、女をオトした。
「えーリュウ?かぁっこいいー!
アタシはマキ。よろしくぅー!」
「アタシはアヤ。よろしくねー」