2人のユウト
姉貴がしつこいので、その日は急用が姉貴に出来たと嘘をつき、帰らせた。
「ねぇ、リュウくん」
「ん?」
「リュウくんって、偽名なの?」
「はっ!?」
「ごめん、外でお姉さんと話しているの聞いちゃった。
お姉さんは峯長なのに、リュウくんは神川でしょう?
それが気になっちゃって・・・」
「・・・ごめん、騙してて。
でも、決してモモを騙そうと思っていたわけじゃない。
初めて繁華街に来た時に、危ないから偽名を使ったんだ。
そのまま、モモにも使っちまった。
本当、ごめん」
「良いのよリュウくん。
実はね、あたしも偽名なの」
「そうなのか?」
「うん。
行方不明のお父さんにばれないよう、偽名を使ったの。
リュウくんと同じく、騙そうと思ったわけじゃないの。
本名は、結婚したら教えるね」
「はっ!?結婚!?!?」
「え?嫌なのリュウくんは。
あたしはリュウくんのお嫁さんなら、なっても良いかなって思ったんだけど。
リュウくんには、学校で好きな人いるの?」
「いるわけねぇじゃん!
俺もモモと結婚できたら、すげぇ嬉しい」