2人のユウト
数日後。
浦川伸也(しんや)が、娘の浦川美波によって殺されたというニュースが俺の耳に入ってきた。
そして同時に、浦川美波の自殺も。
そして、もう1つ。
姉貴が風邪のため仕事が出来ないと報じられた。
風邪なんて滅多に引かない、健康な姉貴だ。
不思議に思った俺は、姉貴がいるという、実家へ向かった。
すると姉貴はいつも通り、漫画を読んでいた。
「なんでいるんだよ」
「あたしと付き合っていた人が亡くなってね。
その犯人とあたしが知り合いって、報道陣が言っているのよ。
あたしが彼氏を殺してって犯人に言ったんだって噂があるから、暫く仕事を休むことにしたの」
「その彼氏って、名前何?」
「浦川伸也よ。
この間、ニュースで娘に殺されたって言われている人。
でもあたし、浦川美波なんて知らないのよねー」
「・・・姉貴さ、俺とモモのこと、伸也さんに言ったのか?」
「え?えぇ言ったわよ。
あたしの弟が結婚するって。
相手は繁華街近くの小さなアパートに住む、三浦モモだって。
そういえば伸也、やたらとあたしにモモのこと聞いたわね。
どういう子とか、見た目とか、経歴とか。
モモちゃんって、伸也と知り合いなの?」
この女が、浦川伸也に、モモの居場所を教えたんだ。