2人のユウト






 舞由美というペンネームから勇子に変え、俺は小説を書いた。


 書く内容が思いつかないので、モモのことを書いた。


 すると、瞬く間に人気が出て、売れた。


 今ではユキを超える人気さを誇る。





 しかし、俺は決して正体を明かさずに、ますます勇子の謎を深めた。


 世間は勇子を女だと思っているから。


 男だということを知って、幻滅してほしくなかったから。


 特に理由はない。


 しかし書き始めた当初、俺はそう決めていたから、今も続けている。






 俺は定時制の学校に入学し、近所に住んでいた不良たちと仲良くした。


 屋上にも度々侵入し、仲間だけ怒られた。


 俺は何故か頭が良かったから。


 表向きは優等生だから。


 先生たちは知らない。


 俺が仲間たちを闇へと堕とそうとする、真のリーダーだということを。


 まぁ、知らなくて良い真実。


 仲間たちが怒られているのを、俺は誰にもバレないよう、静かに微笑んでいた。







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